トロダイルコアのインダクタンス簡易巻数計算法


2008/09/02  Nishimura Hiromi


 トロダイルコアにホルマル 線を巻き直し希望するインダクタンスを持つコイルを作りたい。そんなとき巻数をどの程度にするか悩むのでは。そこで既知のインダクタンスを持つコイルがあると きホルマ ル線を巻き直して希望するインダクタンスになる巻数を計算する方法を紹介します。


 当り前すぎる推定法なんで すがインターネットで検索してもヒットしないのでひょっとしたら間違えているのかも。でも、これまで失敗していないだけに間違えていないような気 が.... 自信が無いけどこんな方法で希望するインダクタンスにできる、かもしれないという方法を紹介します。


● 基礎知識になるかな~

tmpPicture.jpg

 上記はスイッチング電源から取り外したあるトロダイルコア の巻数とインダクタンスを計測したときの実測値です。横軸がホルマル線の巻数。縦軸がそのときのインダクタンスです。インダクタンスの計測には「LC共振を利用したインダクタンスメータ」を使い ました。このグラフを見て判るようコイルの巻数とインダクタンスの関係は二次関数の放物線になるようです。式は y = ax2+bx+c (yがインダクタンスでxが巻数)です。試しに最小二乗法で推定したインダクタンスも見てみましょう。

tmpPicture_1.jpg

 黒が実測値、赤が最小二乗 法による推定値です。残念ながら赤と黒が重なってしまい違いが殆ど判りません、というか黒線と赤線が重なるほど巻数とインダクタンスの関係は二次関数に一致すると いうことです。


● 簡易推定方法


 トロダイルコアの巻数とインダクタンスが二 次関数になることが判りましたが、推定式が y = ax2+bx+c (yがインダクタンスでxが巻数)だと係数が多すぎて計算が面倒です。そこでエイヤーと推定式を単純に y = a•x2 と係数を一つにしてみましょう。


 今、ここにサンプルとして コモン・モード・チョークトランスがあります。20回巻きで 3.1mH のインダクタンスでした。これを y = a•x2 に代入し係数 a を求めると。

3.1 = a•202   →    a = 3.1/400


となります。ここで自分が 1mHのインダクタンスが欲しいとします。そのときの巻数は y = a•x2 を変形し x = √(y/a) ですから


x =  √(1*400/3.1);

x;

   11.3592

.OK.

 よってこのトロダイルコア に11.36回巻けば1mHのインダクタンスが得られることになります。それでは実際に巻いてみましょう。11.36回巻きなんてできませんから11回巻 と12回巻の2つの実測値を比べてみます。


11回巻     0.968mH

12回巻     1.146mH


 このように簡易計算法でも ドンピシャで目的のインダクタンスを得る巻数が判ります。これ覚えておくとコイル作成に重宝します。


● 備考


 私のページを読んでいる方 はうすうす気が付いていると思いますが、私が作る電子回路の部品の多くはジャンク品を利用しています。コイルもその例に漏れず、これまでコイルを購入する 事は殆どありません(電解コンデンサーも同じ)。ほとんどが廃棄になったものからの再生品です。で、コイルというかコアに関する経験を言わせてもらえば、コイ ルのインダクタンスは見かけではまったく判断できません(中空は除く)。十数回巻いただけのものが1mH以上あったり、十数μHだったり。見かけでインダ クタンスを推定する事は殆どできません。ただ、これまでのジャンク漁りで得た経験からコアには大きく分けて2つの種類があるようです。10回巻で1mHを 超える物と10μH程度のもの。例えばコモンモードチョークトランスやACラインに入れるコアは十数回巻いただけで1mHを超えますが、スイッチング電源 のチョークコイルは百回近く巻かないと1mHの大台にのりません。これを知っていると自分でコイルを巻くとき結構役に立ちます。それからトロダイルコア、 これ結構飽和しやすいのですがダイヤモンドカッターで隙間を作ってやるだけで何故か飽和しにくくなるというかコイルに電流が流れにくくなるような気がしま す(間違えてパルス幅は大きくしてもFETが壊れない、でもコアは熱くなるようです)。理由はさっぱり判りません。コアで遊んでいると色々面白い事があ ります。ああトロダイルコアの空隙は直流電流計を作るために開けたのですが、トロダイルコア自体が磁化され無調整で直流電流が計測できない事が判り捨てたも の。隙間があるだけに線が巻きやすく重宝してたものです。巻数が多い時はトロダイルコアに隙間を開けて使うのも楽ですよ! 鉄さびのような細かな粉さえ我 慢できればダイヤモンドカッターで簡単に隙間を作るれます(私はダイソーで100円のものを使っています)。