パ ルスジェネレータの波形とパルストランスによるMOS FET 絶縁ドライブの試験


2008/09/02 Nishimura Hiromi


 本格的(アマチュア領域で すが)に MOS FET を使ったパルス電力制御の回路を作ってみたくなり下記のような絶縁ドライブ回路を作ってみた。これはCQ出版の「パワーMOS FET活用の基礎と実際」(この本、勉強になります!)のP180に載っていた図7-11のもの(初めての私が回路組める訳が無い)。

tmpPicture.jpg

 いざ試験をしようと思った ら適当なパルスジェネレータが無い。これまで使う事が無かったのでパルスジェネレータが無いのは当り前(研究に使うのだったら買えない事も無いのだが、今 のところ電力制御のニーズが無いし将来もたぶん無いだろう!)。自分で購入するにも何を選択したら良いのか判らない。色々な測定器を沢山使っている秋田県工業技術センターで聞くしか無いだろう。購入する には時間がかかるということで手っ取り早く作る事に。必要な機能はパルス周期とデューティ比が変更できるパルスジェネレータ。出力はMOS FETのゲートがドライブできる電圧なので5~15V。電流はパルスで1Aも流せれば良いのでは。という訳で、下記のような回路を考えた。

tmpPicture_1.jpg

 見て判るよう PIC12F683のPWM機能を使っている。パルス周期は AN0 のアナログ入力で設定。パルスのデューティ比は AN1 のアナログ入力で設定。PICの出力は5Vなので12V以上にシフトするためのディスクリート回路。PICの端子が3本余っているので何に使おうか思案 中。

tmpPicture_2.jpg


 これが配線図。図は部品面 なので部品を配置が終わったら上記配線図を左右反転し配線ハンダ付けのこと。回路図と配線図に回路定数が異なる部分があるが、あまり気にしないように。


● PIC プログラム

 PIC 用の参考プログラムを下記に紹介する。動けば良いと適当に作ったので参考にならないかも。


---------------< pg.h >--------------------------------

#include <12F683.h>

#device adc=10


#FUSES NOWDT                 //No Watch Dog Timer

#FUSES INTRC_IO              //Internal RC Osc, no CLKOUT

#FUSES NOCPD                 //No EE protection

#FUSES NOPROTECT             //Code not protected from reading

#FUSES NOMCLR                //Master Clear pin used for I/O

#FUSES NOPUT                 //No Power Up Timer

#FUSES BROWNOUT              //Reset when brownout detected

#FUSES IESO                  //Internal External Switch Over mode enabled

#FUSES FCMEN                 //Fail-safe clock monitor enabled


#use delay(clock=8000000)

---------------< pg.h おわり>--------------------------------


---------------< pg.c>--------------------------------

//

// MOS FET用パルスジェネレータ

// by Nishimura Hiromi

// 2008/09/01 Ver 1.0.0

//


#include "pg.h"

#include "math.h"


//----------------------------------------------------------------

//

long getADC(int ch)

{

int i;

long data;

data = 0;

for(i=0;i<30;i++){

set_adc_channel(ch);

delay_us(70);

data += read_adc();

}

return data/30;

}

//----------------------------------------------------------------

//

void main()

{

long duty,period;

float tmp;

//

setup_adc_ports(sAN0|sAN1|VSS_VDD);

setup_adc(ADC_CLOCK_INTERNAL);

setup_timer_0(RTCC_INTERNAL|RTCC_DIV_1);

setup_timer_1(T1_DISABLED);

setup_timer_2(T2_DIV_BY_1,249,1);

setup_ccp1(CCP_PWM);

set_pwm1_duty(500);

setup_comparator(NC_NC);

setup_vref(FALSE);

setup_oscillator(OSC_8MHZ);


//

duty = 0;

period = 0;

while(true){

//

period = getADC(0);

duty = getADC(1);

tmp = (float)period*(float)duty/1024.0;

//

setup_timer_2(T2_DIV_BY_1,period/4,1);

set_pwm1_duty((long)tmp);

//

delay_ms(100);

}

}

---------------< pg.c おわり>--------------------------------


● 突然ですが動作試験


 回路設計ができ配線図がで きたら作るしかありません。今回は悩むところが全く無し。気になるのが出力電圧の設定。今回は悩まずに電源電圧依存ということで。そんな訳で下記試験では 電源電圧に12Vを使用。


● まずは無負荷の状態

tmpPicture_3.jpg

波形がひしゃげているがプ ローベの調整なんだろうか?

まあこの程度は無視するしか ありません!


 無負荷時なのであまり期待 していなかったのだが、思っていた以上に奇麗な波形。これならゲートのON・OFFに使えそう。


● 10Ωの抵抗を負荷にしたとき

tmpPicture_4.jpg

 出力電流の目標は1Aなので出力に10Ωの抵抗を接続。10Ωの抵抗を負荷にして も1V程電圧降下が見られるのみ。これで丁度1Aパルス。MOS FET のゲート容量は大きくても 2000pF 程度らしいので1Aのドライブ能力があれば普通(何が普通なのか?)の MOS FET はドライブできると思う? 本当かな~


● MOS FET ドライブ回路(FET未接続)

tmpPicture_5.jpg


 パルスジェネレータを上記絶縁ドライブ回路に接続したときの入出力波形。まだFETは接続していない状態(実はパルストランスで色々と.......)。赤:入力波形、緑:出力波 形である。同じ波形が得られている。思ったより」マトモ。しかし デューティ比が大きくなると

tmpPicture_6.jpg

のように、次第に伝達特性が 悪くなりON時の電圧が低下する。更にデューティ比が90%を超えると

tmpPicture_7.jpg

のように、ON電圧が当初の 半分にまで低下する。MOS FET のゲートは4~5V以上あれば開くはずなのでまだ使えそうな気がする。でも一次側でゼロ電位が上昇しているということはトランスのリセットが上手く働いて いないという事なんだろうか?


● MOS FET ドライブ回路でパルス周期が長いとき


 上記はパルス周期が 50KHzと比較的高い場合である。これが20KHz以下になると面白い現象というか変な波形が。

tmpPicture_8.jpg

 デューティ比が30%以下 であれば上記のようにマトモである。でもデューティ比が30%超えると。

tmpPicture_9.jpg

 この様に、とんでもない波 形になってしまう。ランダムでは無いようだが不思議な波形。ところがデューティ比が70%をこえると普通に戻る。

tmpPicture_10.jpg

 パルストランスを使用した ハイサイド用の絶縁型ドライブ回路は初めてなので波形が乱れる原因が判らない。というよりパルスジェネレータを作った理由がこの現象を見るためである(実 は前に試しているのだが)。


 まあスイッチング周波数を 20KHz以上にすれば問題が無いということなので原因は後でゆっくり調べる事に。でもL負荷というのが気になるな~


● MOS FET のゲートを負荷にした時。


 MOS FET のドライブ回路の出力を82Ωの抵抗を挟んでゲート(2SK320)に接続したときのゲート電圧を見てみる。ドレインに電圧をかけていないので実際とは異 なるかも。

tmpPicture_11.jpg

約700nsec幅のパルス 時のゲート電圧波形

一応、FETがONになる電 位を超えているので使えそう

tmpPicture_12.jpg

約2μsec幅のパルス時の ゲート電圧波形


 思っていたより奇麗な波形 であった。もう少し遅延すると思っていたのだが、遅延は約1μsec程度。

tmpPicture_13.jpg

デューティ比約50%時の波 形(完璧だ~ 自画自賛)

tmpPicture_14.jpg

デューティ比約90%時の波 形(まだ使えそう、たぶん)

本に書いてあるのは本当で あった!

tmpPicture_15.jpg

おまけ(約200KHzでドライブしたとき)

● 感想


 初めて作った MOS FET 用の絶縁ドライブ回路にしては上手くできたのでは。最初、パルストランスが無かった、というか何を使えば良いのか判らなかった。試しにスイッチング電源か ら取り外したコモン・モード・チョークトランスを使ってみた。これがあっさりと使えてしまったのが驚き。ただ立ち上がりが遅い。コモン・モード・チョーク トランスのインダクタンスを計測してみたら約4mH。インダクタンスが大きいのかも。そこでトロダイルコアに径0.5mmのホルマル線を15回巻きし 100μHのパルストランスを作って試した。その結果、上に紹介した様なとんでもない波形と同じ物が得られた。そこで次に巻数を60回にし約1.5mHの インダクタンスを持つパルストランスを作り実験した。その結果が上記である。少なくても自作パルストランスで周期が20KHz以上であれば0%~90%程 度のデューティ比で制御可能という事が判明。


 これで絶縁ドライブの目処 が立った(と思う)。さて何を作ろうか。スイッチング電源なら購入した方が高効率の物が簡単に手に入る。あまり他人が作っていないもので、かつ面白いも の。そう、いま考えているのは電子スライダックなんです(これも本に載っていた)。トライアックを使った物は波形が汚いので嫌い(昔、半田ごての温度調節 に使っていた。今は「半田ごて温度調節装置」です)。波数制御の物はあまりノイズは出ないがモーターに接続すると動きが滑らかではない(ドリルには便利なのだが)。やっぱりトランスを使った スライダックが一番。でも図体が大きく外部制御ができない。そんな訳で奇麗なサイン波形が出力できる電子スライダック。これがMOS FETを使った電力制御、最初の目標である。次は交流50Hzの周波数を変えるインバーターかな(回転数制御)。次は.....夢は膨らむ~~~~~


P.S.

 このページにあるデジタル オシロの画像は家で使っている OWON PDS5022S の画面をキャプチャーしたもの。でも私が使っているコンピュータはMacBookなんです。変に思うかもしれませんね。実はMacBookに Parallelsを入れWinXPを使っているのです。だからCalendarMemoを使いながらPICのプログラミングや書込み、オシロスコープ観 測が一台のマックで全部できてしまうのです。だからPDS5022S 画面のキャプチャーはMacOSXの基本機能でできるんです。昔はVNCを使いマックからWinXPマシンを操作していたんですがParallels導入 以後WinXPマシンは.... EeePC、最近使っていないな~

 面白いと思いませんか?  でもWinXPは五月蝿いのが難点。アプデートしろだの、使ってもいないのにインターネットケーブルが接続されていないだの、アップデートが終わっただ の、この何日かディスクスキャンしていないから実行しろだの、まあその五月蝿いこと。普段からWinXPを起動するようになり、これらメッセージがとても 気になります。これでウイルスに感染したら仕事にならないですね!たぶん!


 WinXPはメインに使っ ていないので無視すれば良いだけなのですが。Windowsシステムをメインに使っている方はコンピュータを使っているのか使われているのか。自分を含め 御愁傷様です。みんな優しいんだな~