■ 放電実験の分析結果(GL200の初仕事)

[2006/11/16]


 注文していたデータ ローガー(GL200) が届きました。そこで、バッテリー放電実験の電圧計測に使ってみる事にします。これまで使っていたSwordFishは 1チャンネルしか計測できません(元々、デジタルストレージオシロスコープとして使うつもりだったので無理もありません)。これ以外にも秋月電子から購入 したデータロガーもたまに使うのですが分解能が10ビットで、しかもアンプが無いため使い勝手は良くありません。それにMacintoshとは非常 に相性が悪い(通信関連の情報が全然後悔されていない)。そんな訳でデータ ローガー(GL200) を購入した訳です。10チャンネルの絶縁入力で、アンプも 20mV〜50V まで設定できます。それに外部メモリーに普通のUSBフラッシュメモリーが使える点が気に入りました(税抜き¥88,000-でし )た。仕事で使うなら安いと思いますが、私のように趣味で使うには高いかも。まあWENS700 で失敗していることを考えれば計測器くらいマトモな物と思います。少なくてもパソコンを買うよりは良い買い物だと思っています。

 データ ローガー(GL200) の初仕事は放電実験の電圧計測ということにしました。放 電器バッテリーの電流を制御する FET(NDS9936)の消費電力が最大規格を超えると問題があるので、これを調べるため下記 回路図の計測点(A),(B)で計測してみました。

tmpPicture.jpg

放電回路の回路図

tmpPicture_1.jpgtmpPicture_2.jpg

GL200で計測中の様子(まだ線を用 意していなかったのでワニ口クリップで)

■ 前処理


 計測データの処理には CalendarMemoを使う事にします。でもGL200は 当然の事ながらWindows を使う事を想定しているようで、添付の処理プログラムはWindows専用、ファイル形式もバイナリーのGBDとなってます。これではMacintosh が使えません。幸いな事にGL200にはエク セルでよく使われるCSV形式のファイルとして記録する機能が付いていました。ただしCSV形式で記録すると計測中のREVIEW機能が働きません、 REVIEW機能を使うにはGBD形式で記録しなければいけないようです(悔し いが我慢です)。

 GL200は外部記憶装置として普通のUSBフラッシュメモリーが使えます。本体には 3.5MB のメモリーしか積んでいないので長時間計測にUSBフラッシュメモリーは助かります。今回はUSB フラッシュメモリーにCSV形式で記録した計測データを保存しMacintoshに移して 使う事にしました。購入前はGL200USBドライブの機能を使い直接Macintoshに接続しようかと思っていたのですが、Macintoshに接続しても認識(マウント)してくれませ ん。どうも汎用USBフラッシュメモリーのようにはなっていないようです(これも我慢ですかね)。

 そんな訳で計測データは、 (GL200で 計測)→(USBフラッシュメモリー)→(Macintosh)、の順番でデータを移動しCSV形式のデータファイ ルをCalendarMemoで処理する 事にしました。暇になればGBDファイルを直接読める loadGBD 関数なんぞを作ってみようかと思っています(何時になる事やら)。


 Macintosh上にコ ピーされたCSV形式のファイルをテキストエディットで開きヘッダー部分を削除します。これを .txt として保存し下記プログラムを実行します。結果は行列変数(a)に代入されます。

tmpPicture_3.jpg

黄色の部分を削除しテキスト で保存


a$ = loadText("2006-11-15_19-12-24.txt");

b$ = swapTextString(a$,"\n\n","\n");

b$ = swapTextString(b$,",LLLLLLLLLLLL","");

b$ = swapTextString(b$,",","\t");

copy(b$);

a = getClipData(0);

~作図条件の設定

graphInsertMode(1);

setPlotWindowSize(250,200);

~時間の設定(サンプル番号 から分単位に変換)

t = a[#,1]*10/60;

~行列変数bにバッテリー電 圧(計測点A)を代入。

b = change(a,4);

~行列変数cにFETドレイ ン電圧(計測点B)を代入。

c = change(a,5);

  今回はテキストエディットを使いCSVファイルの編集をしています。でも file 関連関数を使えばCSVファイルの編集無しにデータを読み込む事ができます。これを載せようと思いプログラムを組んだらエラー。調べてみたら fileRead 関数の "TextNumValue" にバグがありました。何故か指定が "Textmc_NumValue" になっていました。ミスで "mc_" が書き込まれてしまったようです。そんな訳でCalendarMemoのバグフィック版を公開したらこのプログラムも公開する事にします。


■ 放電特性


 実験に使用したバッテリー は最近 の一連の放電試験で使った物で、今回は4回目の放電試験となります。まずは放電特性から見てみましょう。バッテリー電圧は計測点Aなので行列変数bを使いま す。

form1 = |0,220,40,0.95,1.35,0.05|;

a# = parametricLinePlot(t,b,form1);

changePictSize(a#,2);

tmpPicture_4.jpg

 実に奇麗というか、まった くノイズが含まれない。SwordFishと は全然違う。


  このバッテリーの放電特性は悪くなく 1.15Vを二時間以上維持するので結構使えるバッテリーではないかと思います。もう数年は使えるのではないかと思います。グラフを見て判るよう計測結果 にはまったくノイズが含まれていません。やはりプロが作った計測器はすばらしいですね。SwordFishで 計測したこのグラフと 比べると全然違う事が判ります。GL200の仕様に分解能は16ビット(有効14ビット)と書かれています。SwordFishの8ビットと比べるのが悪 かったようです。

■ 負荷抵抗に流れる電流


 次は負荷抵抗に流れる電流 をみてみましょう。負荷抵抗間の電圧は計測点(A)と計測点(B)の差で b-c です。また流れる電流は (b-c)/1.6 となります。

form3 = |0,220,40,0,1,0.1|;

a# = parametricLinePlot(t,(b-c)/1.6,form3);

changePictSize(a#,2);

tmpPicture_5.jpg

 放電開始から160分後あ たりから電流が急激に減少しています。バッテリーが電圧を維持できなくたった為です。ここでバッテリーの 容量を計算してみましょう。容量は積分を計算する sekibun関数(台形公式)を使います。

s = sekibun(t/60,(b-c)/1.6);

max(s)*1000;

 2090.8709

.OK.

 今回は約2091mAhの ようです。


■ 負荷抵抗(1.6Ω)で消費される電力


 次は負荷抵抗で消費される 電力を見てみましょう。電力は電圧・電流です。電圧は (b-c)、電流は (b-c)/1.6、です。よって (b-c)^2/1.6 が負荷抵抗で消費される電力ということになります。

form4 = |0,220,40,0,1,0.1|;

a# = parametricLinePlot(t,(b-c)^2/1.6,form4);

changePictSize(a#,2);

tmpPicture_6.jpg

 負荷抵抗で消費される電力 は1W弱のようです。今回の放電器に使った抵抗器は1Wの巻き線抵抗です。計測結果からぎりぎりのW数だったようです。動作中の不課程後期は相当に熱くな ります。輻射温度計で測ったら85℃程度に なっていました。負荷抵抗で消費される電力が1Wという点から温度が高くなるのも頷けます。2Ω、5W位のセメント抵抗に代えた方が 良いかもしれません。


■ FET(NDS9936)で消費される電力


 さて肝心のFETで消費さ れる電力を見てみましょう。FETに流れる電流は負荷抵抗に流れる電流と同じですから (b-c)/1.6 となります。またFETにかかっている電圧は c なのでFETで消費される電力は (b-c)/1.6•c となります。

form5 = |0,220,40,0,200,20|;

a# = parametricLinePlot(t,(b-c)/1.6•c•1000,form5);

changePictSize(a#,2);

tmpPicture_7.jpg

 面白いグラフですね。放電 中、FETがオンになっている時、FETは非常に低い抵抗値になります。そのためFETでは60mW程度しか電力を消費していません。で も放電終了設定電圧近くになるバッテリー電圧と設定電圧の差が小さくなりゲートにかかる電圧が低下します。そのためFETの抵抗は次第に高くなります。 FETの消費電力が増えるのは、この中途半端なゲート電圧の時に起こります。上記グラフのように放電電圧が急激に降下するときFETの消費電力も上昇し 160mW 程度になっていました。その後、流れる電流は少なくなるのでFETが消費する電力も急激に減少します。

 この回路で使っている FET(NDS9936)の最大規格は放熱無しの最悪値で 1.7A, 0.9W です。今回の計測から電流電圧とも問題が無いようです(たぶん)。安心しました。


■ 備考


 ついでだったので、このバッテリーの充電特性も計測してみまた。使っている充電器は NEXcellの急 速充放電器(NC-60FC)です。この充電器は一本から充電できるので気に入っている充電器です(充電終了のメロディがうるさいのに は困ります)。この充電器を使ったときのバッテリー電圧の変化、特に -ΔVで充電終了しているのか調べてみました。

tmpPicture_8.jpg

 上記グラフが今回の充電特 性の結果です。この充電器、定電流充電するものと思っていました。でも実測では上記グラフのように計測結果に幅があります。ノイズかなと思ったのですが変化は 周期的で 0.8秒と 0.2秒の繰り返し。どうもNC-60FCは一秒周期位?で電流を切り替え充電する装置のようです。あまり市販の充電器を調べたことがないので、これが一般 的な充電方法なのかどうかは判りません。でも私にとって新しい驚きでした(面白い!)。

 上記グラフでちょっと電圧 が降下しているところがありますが、これがたぶん充電終了を検知する -ΔVだろうと思います。でも その後1時間程の充電は何なんで しょう。補充電なんでしょうね。実は、この計測を夜中に行ったためどの時点で充電終了のチャイムが鳴ったか判っていません。最初の -ΔVなのか、それとも次の変曲点 なのか。

 この周期的に電流を変えた 充電方法、面白いですね。形は機能を表すと言うように、この方法は何か意図的なものと推定されます。下の方のグラフを見ると、充電中は高い電圧の方が長く低 い電圧の方が短い周期になっています。ところが-ΔVを超えた時点で反転し高い電圧が短く低い電圧の方が長い周期になっています。これもまた意 図的のような気がします。NEXcellも色々考え、最適な充電方法を模索しこのようになったのでしょう。でも理由が知りたい!


Nishimura H.